忘れはしない
あぁ、なぜだろう。

早紀ちゃんの笑顔が、優希とダブる。

姉妹だから似ているのは、当然なんだけど。

優希とは違うとわかっているんだけど。

なんだか、優希が笑ってくれてるような気がして……。

「どうして……」

「え?」

「どうしてお前は笑ってくれるんだ、優希」

「……っ」

きっと、早紀ちゃんはびっくりしただろう。

俺が、おかしくなったと思ったのかもしれない。

自分でも何を言ってるんだと思う。

でも、一度はずれたタガは簡単には戻らなかった。

「俺が、温泉行こうなんて言わなかったら! 天気悪いから、また今度にしようって言ってたら! 無理にでも……、無理にでも、俺が窓際の席に座ってたら、お前は死なずにすんだのに!」

涙が止めどなく流れてくる。

拭っても拭っても、まるで洪水のように。

情けないのはわかってる。

だけど、俺はただ、子供のように泣いていた。

「俺が、死ねばよかったんだ……」

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