忘れはしない
「それでね、思ったんです。あぁ、やっぱりお姉ちゃんには敵わないな~って」
あいつらしいといえば、あいつらしい。
いつでも、あいつは、笑っていた。
喧嘩して、怒ったり、拗ねたりしたときでも、最後には、とびきりの笑顔を見せてくれた。
不意に、目頭が熱くなった。
涙は、流しきったはずなのに……。あの笑顔を、俺はもう、見ることが出来ないかと思うと、切なくなる。
「……京介さん、笑ってください。ほら、にーって」
早紀ちゃんが、ほっぺたを引っ張って、にーっと笑う。
その姿がどこかおかしくて、思わずつられて笑ってしまった。
「その調子です。そのままでちょっと待ってください」
そう言ってかばんから手鏡を取り出すと、俺のほうにむける。
ひどい顔だ。瞼は真っ赤に腫れ上がり、顔全体が涙でむくんでいた。少し、髭も伸びたかもしれない。
そんな俺が、鏡の中から俺に笑いかけていた。
その顔が、ひどく滑稽で、変で、おかしくて。
気がつくと、俺は、笑っていた。
早紀ちゃんも、そんな俺を見て笑っている。
俺達は、しばらくの間笑いあった。
馬鹿みたいに、腹を抱えながら。
あいつらしいといえば、あいつらしい。
いつでも、あいつは、笑っていた。
喧嘩して、怒ったり、拗ねたりしたときでも、最後には、とびきりの笑顔を見せてくれた。
不意に、目頭が熱くなった。
涙は、流しきったはずなのに……。あの笑顔を、俺はもう、見ることが出来ないかと思うと、切なくなる。
「……京介さん、笑ってください。ほら、にーって」
早紀ちゃんが、ほっぺたを引っ張って、にーっと笑う。
その姿がどこかおかしくて、思わずつられて笑ってしまった。
「その調子です。そのままでちょっと待ってください」
そう言ってかばんから手鏡を取り出すと、俺のほうにむける。
ひどい顔だ。瞼は真っ赤に腫れ上がり、顔全体が涙でむくんでいた。少し、髭も伸びたかもしれない。
そんな俺が、鏡の中から俺に笑いかけていた。
その顔が、ひどく滑稽で、変で、おかしくて。
気がつくと、俺は、笑っていた。
早紀ちゃんも、そんな俺を見て笑っている。
俺達は、しばらくの間笑いあった。
馬鹿みたいに、腹を抱えながら。