忘れはしない
「おはよう、…って何で笑ってるの?」

「な、何でもねぇよ」

ちょっと可愛いと思ったのは秘密だ。

ふーん、と言いながら疑いの眼差しを向けてくる。


わ、話題を変えなければ…。

「そ、それよりお前、あの子たちはいいのか?まだ、話の途中だったんだろ?」

「ん? あ~、いいのよ。あの子たちは一緒の大学だからね」

優希は、進学を選んだ。

俺も同じ大学に行きたかったのだが、如何せん頭がそんなによくなかったのと、家の都合で就職という道を選んだ。

小、中、高と同じ道を歩いてきた俺たちだったが、ついに離れるときが来たようだ。

嫌だ、とは言えない。

もう、子供ではないのだから。

だけど…、俺は。
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