忘れはしない
「あっ、ちょっと京介!?」

俺は、脱兎の如く駆け出していた。

廊下を、人の隙間を縫うように走り抜ける。

行き先なんて決めていなかった。

ただ、あのままああしていたら、理性が飛んでしまいそうで怖かったんだ。

あいつとの関係が壊れるかもしれない、そんなこと考えたくなかった。

それならば、今のままでもい。何も変わらず、このままで…。




俺は、臆病者だ。
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