忘れはしない
「いらっしゃい、京介さん」

玄関を入ってすぐに、早紀ちゃんが、笑顔で迎えてくれた。

「こんにちは。遅くなってごめんね。はい、これ。お土産のケーキ」

「わぁ、ありがとうございます!…中、見てもいいですか?」

どうぞ、と言うと手際よく箱を開いていく。

何も玄関で開けなくてもいいような気がするんだが。

俺は苦笑する。

「…凄いですね。みんなの好みをちゃんと知ってます」

そりゃあ、5年、10年付き合いじゃないからね。
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