忘れはしない
早紀ちゃんはモンブラン、おばさんは抹茶ケーキ、そして、優希はイチゴのショートケーキと決まっていた。

おじさんは、甘いものが駄目のようで、私の分はいらないとよく言っていたような気がする。

「せっかくだし、いただこうかね。早紀、フォークとお皿持ってきて」

「うん」

おばさんに言われ、元気よく走っていく。

その姿を見て安心する。

ふと横をみると、同じようにおばさんが彼女を見ていた。

高校3年生とはいえ、まだまだ多感なときだ。

やはり、彼女のことが心配なんだろう。


と、おばさんと目があう。

「ほ、ほら、こんなとこにつっ立ってないで、さっさと上がんな!」

照れ隠しなのか、背中をバシバシ叩かれる。

痛い…。
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