忘れはしない
ゆっくりと首をふる早紀ちゃんの目から、涙が溢れてくる。

「そんな…こと、ないです。それは、京介さんの強さ…ですから。私は、ちょっとお手伝いしただけです」


「それでも言っておきたいんだ。……ありがとう」

こくっと頷いて、早紀ちゃんは居間のほうへ走っていってしまった。

「あんまり、うちの娘を泣かすんじゃないよ?」

おばさんが、笑いながらからかってくる。

「すいません。…それじゃ、行ってきます」

「ああ、しっかりね」

おばさんが、居間に行くのを見届け、ゆっくりと階段を登る。





優希、今行くからな。
< 49 / 67 >

この作品をシェア

pagetop