忘れはしない
だが、肝心のそこからの言葉が出てこない。

いや、正確には言いたくないんだ。

返事なんてないのはわかってる。ただ惨めになるだけだ。

俺の独りよがり。

こんなことをしても、優希が戻ってくるわけじゃない。

でも、…どうしても伝えたかったんだ。あいつに少しでも喜んで欲しいから。

それなのに、ここまで来て言葉が出てこない。


情けない、情けなすぎる。

自分の不甲斐なさに、涙が溢れてくる。

「くそ…っ、くそぅ!」





「そんなに泣かないの、子供じゃないんだから」
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