忘れはしない
鼻先に指をびしっと突きつけ、厳しい口調で言ってくる。

俺の身体を本当に心配してくれているんだなぁ、と思う。

でも、素直に言うことを聞くのも癪だ。

「でもな~、これがないと生きていけないしな。なんていうか、ちょっとした楽しみっていうか」

優希は何も言わず、じっと
俺を睨みつける。

……もしかして、ちょっと怒ってる?

「あ~、もう!わかった、わかりました!ちょっとは控えるようにするから!」

「……控える?」

優希さん、声が低いです……。

「ちょっとずつ本数減らして、最後には止めるよう、努力します!」

「うん、よろしい!偉い偉い」

ぱっ、と笑顔になり、俺の頭を撫でてくる。さっきのは、演技かよ……。

ちくしょう。俺は、一生こいつには勝てないんだろうな。



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