忘れはしない
後悔
「こんにちは。……具合どうですか?」

「……」

事故から三日が過ぎようとしていた頃、早紀ちゃんが家に見舞いに来てくれた。

一週間ぶりにみる、彼女の目は赤く腫れていた。

奇跡的にも全身打撲と擦り傷ですんだ俺は、一日の検査入院を経て自宅に帰された。

入院する必要もなく、自宅で一週間安静にしていればすぐに治る、と医者から言われた。

言われるまま、自宅に帰った。優希の顔を見ることもなく。

ドアを開け、ただいまと言うが当然のようにあの明るい声は聞こえてはこなかった。



それから一週間、ずっと自宅に閉じこもった。

葬式にも出席せず、ただぼーっと過ごしていた。

「ちゃんと食べてますか?顔色、かなり悪いですよ……」

そう言えば、三日前から何も食べていない。

俺は、無言で首を振った。

「まさか、ずっとですか!?ダメですよ、倒れちゃいます!」

「……いいんだよ、別に」

俺は最低だ。優希を守ることもできず、死に顔も見てやれなかった。

怪我らしい怪我もなく、のうのうと生きている。

神様はどうして優希だけ連れて行ったのだろう?
どうして、俺も連れて行ってくれなかったのだろう?


ここ数日、そんなことばかり考えていた。
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