ラブ☆ヴォイス
 翌朝。何だかよく眠れたような、夢見心地のままのような、不思議な感覚のまま、大学に向かうべく玄関のドアを開けた。

「行ってきまーす!」
「気を付けてねー。」

 ガチャンとドアが閉まった音が2つ聞こえた。

「あっくん!」
「うわー…またお前か。」
「おはよう!おはようあっくん!」
「何で2回言うんだよ。」

 うんざりだとでも言いたげな表情でそう言うあっくんは、悔しいほどにイケメンだ。

「会えて嬉しかったから!」
「そーですか。」

 唯の方を全く見ずに、淡々と答える。本当にどうでもいいらしい。

「あっくんも言って?」
「何を?」
「おはようって言われたらおはようって返すのは人間としてのマナーでしょ?」
「…はよ。」

 嫌々ではあるけれども、あっくんの声で、本物の声で言われる『おはよう』は全然違う。

「きゃー!あっくんから生まれて初めておはようって言われちゃった!今日はなんだかすっごくいいことが起きそう。朝からすっごくいい声ーかっこいいー!」

「良かったな。つーかお前、どこ行くんだよ?制服はどうした?」

「へ?制服?」

 …あたし、大学生です…けど?
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