ラブ☆ヴォイス
「ちゃんと目、冷やせよ。腫れんぞ。」
「…うん。分かった。」

 まだぐずぐずやってる唯の頭に明博は手を置いた。

「え…?」
「早く泣き止め。大体、自分のことじゃねぇのになんで泣くんだよ。つーか何で泣いたんだよ。」
「分かんないー!でも、悲しいんだもん…っ…。」
「あっそ。じゃあ気の済むまで泣いとけ。…いてやっから。」

 それから10分くらいぐずぐずやって、ようやく泣き止んだ。もう、唯の目は若干腫れている。
 結局、何も訊かないんだな、こいつ。そんなことをふと思う。訊きたいことだらけなのだろうけど。それでもぐっと堪えて訊かないようにしている。そんな思いが見て取れた。


「ありがとな、唯。」
「え…?」
「何も訊かねぇでくれて。」

 明博はぐしゃっとその頭を撫でた。
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