ラブ☆ヴォイス
* * *

 玄関のドアを閉める。その瞬間、足の力が抜けてふにゃふにゃになった。

「…ど…どうしよう…あっくんがとんでもなく…優しいよぅ…。」

 いつもだって優しくないわけじゃない。今日はなんだか特別に優しい。あっくんが優しくなることが最近増えた気がする。思い上がりかもしれないけれど。

「…こんなにドキドキしてるの…絶対分かってない…んだろうな…。」

 きゅっと心臓を押さえる。…ドキドキがうるさい。
 でも、嬉しいだけ…じゃない。気にはなる。ああやって言ったけれど。『祥さん。』あっくんの…彼女…だったのだろうか。
 …言わないけど、言えないけど。言わないという約束だから。でも、訊けるものなら訊きたかった。

「訊いてどうするつもりだったんだろ…あたし…。」

 訊いたら、どんな気持ちになったのだろう。さっきあっくんに言った風に、思えるのだろうか。『気持ち、分かってもらえるだけで』…なんて。
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