ラブ☆ヴォイス

もやもや大ゲンカ

* * * 

8月も中盤に差し掛かってきた。結局のところ唯は、バイトをしているか、家でぐったりしているかのどちらかしかしていなかった。そして、妙に心がもやもやしたままだった。

「…うー…やだやだ!こんなのやだー!」
「なんなのよー…また恋煩い?」
「華ぁ…あたしもうどうすればいいのー?」
「あんたがかっこつけて、『あっくんが話したくなったら~』とかバカなこと言うからでしょ?キャラじゃないっつーの。」
「うぅ…。そんなことは分かってるもん。」

 キャラじゃないなんて、そんなのは分かっている。だがあの時、あれ以上苦しそうな顔してほしくなかった。あっくんのあんな顔を初めて見た。だからこそ、見ていて苦しかった。あんな顔なら、もう見たくない。

「待つしかないんじゃない?かっこつけたままでいたいなら。」
「へ?」
「でも、唯なら素に戻っても別に御堂明博は怒んないと思うけど?話してって素直に言えば?その方が唯っぽいとあたしは思うわよ。」
「…だってあたし、彼女でも何でもないのに…。」
「何を今更。」

 しれっと言い返されて唯は何も言えない。彼女じゃないけど、首を突っ込みたいと思ってしまっている。…ダメ、なのに。
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