ラブ☆ヴォイス

「もっ…もしもし…？」
「近所迷惑。」
「え…？」

　開口一番近所迷惑ってどういうことなの？

「…なんかあっただろ、お前。」
「な…なんで…？」
「俺の家まで揺れそうなレベルでバタンって玄関が閉まる音がして何もねぇわけねーだろ。」

　いつも通りのぶっきらぼうな言い方。それなのに、優しく聞こえてしまって涙が溢れてくる。―――瞬きしたら、絶対涙が落ちる。

「うぅ…優しくしないでぇ…。」
「なんだよ…また泣いてんのか、チビ女は。」
「だって…あっくんが優しくなるからだもん…。」
「お前…俺が普段は優しくねぇみてぇな言い方しやがって…。」
「そうじゃないけどっ…もー…！あたしが…あっくんのこと、大好きなの…知ってるでしょ…？さっ…察して！」
「無茶言うな。お前に何があったかまで察するなんてな、俺は超能力者かなんかか？」
「ちっ…違うけど…。」
「つーか、電話代勿体ねぇんだけど。」
「は…はぁ？」

　な…なにそれっ…！自分から電話しておいて、それ？その言い草？

「じゃ…じゃー切れば…。」
「お前の家の前に立ってるから開けろ。」
「え…？」

　声が聞こえてくる方向が二つ。一つは耳元の携帯から。もう一つは、唯の背後から。