ラブ☆ヴォイス
「…何言っても、引かない?」
「引かれるような内容なのか?」
「…場合によっては。」
「心して聞く。」
「絶対怒んない?」
「怒られるようなことしたのかよ。」
「も…もしかしたら…余計なこと…だったかも。」
「いいから言えよ。怒んねぇように努力すっから。」

 唯は小さく息を吸った。こんなにボロボロで、誤魔化せるはずもない。

「…アイスコーヒー…。」
「は?」
「えっと…アイスコーヒー、人にかけてしまいました。」
「はぁ?」

 うわ、呆れてる。…そりゃそうだよね…。バカだなって絶対思われたな、あたし。

「誰にかけたんだよ。」
「え…?」
「そこが問題だろ。怒るか怒んねぇか判断する材料として。…誰にかけたんだよ。見ず知らずの一般民に対してだったら叱る。」

 あっくんの真っすぐな目に逆らえるはずもなくて、唯はゆっくりと口を開いた。

「…萱原…さん。」
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