ラブ☆ヴォイス
「え…?」
「お前は最低なんかじゃねぇよ。話さなかったのは俺の問題だ。…もやもやさせて、悪い。」
「だって…あたしは訊かないって言ったもん、自分から。なのに…ホントは訊きたくて仕方なくって…でも、そんなこと言ってあっくんに嘘吐いたみたいになるの…嫌…でっ…。」
「なんで最初からそう素直に言わねぇんだよ。妙に聞きわけ良くて逆に怪しかったけどな。」
「…怪しいって!」
「お前、悪くねぇよ。だからとりあえず泣き止め。」
「…が…頑張るっ…!」

唯はぐしぐしと目をこする。涙がひとまず止まるように。

「おいバカ!そんなに強くこすんなよ…赤くなるぞ、目。」
「そんなのどうでもいいもんっ!今止めたい…からっ…!」
「ったくホントに…お前は形振り構わねぇよな。」
「え…?」
「ただ真っすぐで、がむしゃらで。…変な女。」
「へ…変って!」
「変だろ、実際。普通な、なんで話してくんねぇのって詰め寄ってくるもんだよ。それを自分の中で処理して結局自分が悪いって方向に持ってくなんて、自己犠牲はんぱねぇよ、お前。」

 そう言って、あっくんは唯の頭にぽんっと右手を置いた。
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