ラブ☆ヴォイス
* * *

 明るい表情でキッチンに立つ唯を確認し、俺はソファーに腰掛けた。

 …完全に俺の負けだ。こう言ってはなんだが、責めてくれればもっと素直に謝れたのかもしれない。しかし唯は自分の謝罪なんて求めてもいないだろう。

「ねぇーあっくん!そうめんでいい?」
「ああ。何でもいいよ。」
「そうめんならすぐできるから!ちょっと待ってて!」

 小さい身体でせわしなく動く唯。…ほんっと単純でバカだけど、そんなあいつに…。

「…救われてた、のかもな。」

 いつの間にか徐々に俺の中に浸透してきて、気にさせる。泣いたら慰めなきゃならない気がするし、涙はすくってやらなきゃならないと思ってしまう。
 笑顔をそばに置いておきたいと、思ってしまうんだ。

「恋なんて感情、どっかに置いてきたよ、俺は。」
「えー?なんか言った?」
「なんでもねぇよ。」
「んー…?」

 ちょっと首を傾げながら、どこか腑に落ちない表情を浮かべる唯。自分だって分からないんだ。お前を好きかどうかなんて。―――それでも、待ってろ。とりあえず、ちゃんと話すから。
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