ラブ☆ヴォイス
声が違う。咄嗟にそう思ったのは、声の主があっくんではなかったからだった。

「触んなよ。」

 そう言い放って、目の前のチャラ男の腕をひねったのは-――光だった。

「お前なんだよ?」
「いいから触んな。行くぞ。」

 チャラ男をその場に残し、ずんずんと進んでいく光。唯の腕はいつの間にか光に掴まれている。

「あらぁー?あたしの腕は掴まないの?」
「卓真ならホテルのフロント前にいる。お前の腕を掴むべきなのは俺じゃない。」
「ま、そーだけど?」
「唯。」
「え?な…なに?」
「ちょっと話がある。来い。」
「へ?」
「華はフロント戻れ。」
「あたしは邪魔ってことね?」
「そういうこと。」
「えぇ!?ちょ…なんなのよ光!ちょっと!」

 唯が何を言っても聞く耳を持たない様子の光は、腕を掴む力を弱めることなくそのまま進んでいく。力では絶対に敵わないから、唯はそのまま従った。


「…なんだか楽しいことになりそうね、唯。」
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