ラブ☆ヴォイス
* * *
メインとなるビーチからかなり離れた人気のない場所まで来た。あの人混みの中を探す気なんてなかったからだ。それなのに見慣れた小さい女をすぐに見つけてしまった。…一人ではなかったけれど。
どんどんこっちに近付いてくることが分かって、明博は身を潜めた。盗み聞きなんて趣味じゃないが、ここで出ていけるほど空気を読めていない人間でもない。
テトラポットに近い石垣の上に並ぶ二つの影が丁度見える。明博は彼らのいる石垣の下の、丁度向こうからは死角になっている場所にいる。
「ねぇ光!どこまで行くの!?」
「…誰もいねぇとこまで。」
「なんで!?」
「話あるっつったじゃん。」
「じゃあ話してよ、ここで!」
…ああ、やっぱり。『その』話か。
「…お前、やっぱ御堂は止めとけ。」
「またその話!?それなら聞かないって言ってるじゃん。」
「御堂とは住む世界が違うんだよ。」
「違くないよ!隣に住む普通の人だよ。」
「唯は分かってない。」
「分かってないのは光の方!そんな話ならあたし帰る!」
…声も全て丸聞こえだ。
メインとなるビーチからかなり離れた人気のない場所まで来た。あの人混みの中を探す気なんてなかったからだ。それなのに見慣れた小さい女をすぐに見つけてしまった。…一人ではなかったけれど。
どんどんこっちに近付いてくることが分かって、明博は身を潜めた。盗み聞きなんて趣味じゃないが、ここで出ていけるほど空気を読めていない人間でもない。
テトラポットに近い石垣の上に並ぶ二つの影が丁度見える。明博は彼らのいる石垣の下の、丁度向こうからは死角になっている場所にいる。
「ねぇ光!どこまで行くの!?」
「…誰もいねぇとこまで。」
「なんで!?」
「話あるっつったじゃん。」
「じゃあ話してよ、ここで!」
…ああ、やっぱり。『その』話か。
「…お前、やっぱ御堂は止めとけ。」
「またその話!?それなら聞かないって言ってるじゃん。」
「御堂とは住む世界が違うんだよ。」
「違くないよ!隣に住む普通の人だよ。」
「唯は分かってない。」
「分かってないのは光の方!そんな話ならあたし帰る!」
…声も全て丸聞こえだ。