ラブ☆ヴォイス
 大きい影が小さい影の腕を引く。そしてそのまま、背中から抱きしめた。

「え…?」

 困惑した唯の声。無理もない話だ。だって気付いてはいないのだから。

「な…ひか…る…?」
「分かってねぇのはお前なんだよ。」
「なっ…何度も言ったじゃん!あたしはあっくんが…。」

 一度離されたその身体を反転させられ、顔の影が重なった。―――これがどういう意味なのか分からないほど鈍くはない。

 ドンッという鈍い音がして、大きい影が突き離されたのが分かる。あらん限りの力を使って突き飛ばしたのだろう。

「なっ…何すんのっ…。」

 その声が涙に滲む。明博はぐっと右手を握った。そうしないと、飛び出してしまいそうだった。
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