ラブ☆ヴォイス
「な…泣いてる!?御堂と何かあった?」
「た…達也さん…。」
「なんで一人?誰にも会わなかった?」
「…そ…そうじゃなくっ…ってっ…。」

 そうじゃない。…あっくんとは何もない。何も、ない。

「…なんかワケアリ、っぽいね。とりあえずここじゃなんだから、俺らの部屋行こうか?」
「…でもっ…今あっくんに会えな…。」
「御堂ならいないから大丈夫。…おいで。」

 達也の声に導かれるままに、その後ろをついて行く。涙も止まりそうにないし、このままここで泣くわけにもいかない。部屋へと招き入れられ、唯はそのまま立ちつくした。

「ソファー、どうぞ?」
「あ…ありがとうございますっ…。」
「濡らしたタオル、持ってくるよ。ちょっとそこに座ってて。」
「…す…すみません。」
「いえいえ。」

 笑顔でそう言って、達也が離れる。ほんの少し経って、唯に白いタオルを差し出した。

「目、もう腫れちゃってるけど…少し冷やした方がいいと思うから。」
「ありがとうございます…。」
「…泣いちゃうようなこと、あったんだね。」

 達也があまりにも優しい声で言うものだから、余計に涙が出た。
< 198 / 396 >

この作品をシェア

pagetop