ラブ☆ヴォイス
「唯ちゃん…。」
「…っく…うぅ…。」

 みっともない声をあげて泣いてることは分かっていても、涙も声も抑えられない。こすってもこすっても、涙が止まらない。達也の手が唯の肩に触れた。

「そんなにこすると、余計に腫れちゃうよ。」

 優しい声が、涙を助長する。

「…御堂と何かあったわけじゃないんだね。」

 唯は小さく頷いた。…あっくんと何かあった…?そんなの、心当たりがない。

「とすると光くん、かな。光くんと何かあったでしょ?」

 〝光〟という名前を聞いて、身体がびくんと跳ねる。…フラッシュバックする、キスの感覚。

「唯ちゃんを最初に見つけたのは光くんだったのかー…。で、唯ちゃんの動揺っぷりを察するに…もしかしてさ、唯ちゃん、告白でもされた?」
「え…?」
「あ、その顔図星~?」
「えっと…。」
「あ、ごめんねごめんね。泣いちゃってていっぱい混乱してるのにこういう言い方しちゃって。でも、唯ちゃんと御堂に何かあったんなら、俺、放っておけないからさ。」

 達也の笑顔が眩しい。眩しくて、自分の涙が苦しい。
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