ラブ☆ヴォイス
「…御堂明博のどこがいいんだよ?勝手に帰っちまったんだろ?」
「うん。だから、あたしが追いかける。」
「どうしてそこまでするんだよ?」
「…だから、好きだからだってば!」
「だーから!なんで好きなんだよって。」
「…じゃあ、光は?」
「はぁ?」
「…光はなんであたしのことが好きなの?」
「え…。」
「あのね、好きって思ったらもう好きなの。それに理由ってなくてもいいかなっていうのが…あたしの答え。」

 光は目を丸くして唯を見つめている。そしてゆっくりと口を開いた。

「…唯っぽい答え。」

 そう言って小さく笑う。その笑顔が少しだけ切なそうで、唯はそれ以上何も言えなくなる。

「なんでって…確かに咄嗟に好きの理由なんて言えねぇかもな。…俺も、お前のこと、気付いたら好きだったし。」
「え…?」
「鈍くさくて夢見がちで真っすぐで危なっかしくて…俺がいねぇとやべぇ…って思ってた。」
「…な、なにそれ…あたしそんなお子ちゃまじゃ…。」
「うん。唯はお子ちゃまなんかじゃねーよ。普通に女で…だから一歩踏み出せなかった。…今までは。」

 ポツリポツリと自分の心を確かめるように紡ぎだされた言葉に、唯は耳を傾けた。
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