ラブ☆ヴォイス
* * *

 唯のいなくなった部屋。温度が急激に下がったのは、唯がいないからなのか、それとも…

「…俺がフラれたから、なのか。」

 …分かっていたことだった。こうなるということは。頭ではちゃんと分かっていて、覚悟しているつもりでもあったけれど。でも、それでも。

「…へこみたくねぇのにへこむんだもんな、情けねぇ…。」

 改めて唯の口から言われると、分かっていてもぐさりとくる。それでも答えを求めたのは自分なのに。

「それだけ想っても、叶わないこと…もあるんだよな。」

 唯の目は本物だった。御堂明博がここにいなくても、見ている先はいつだって…

「やんなる、マジで。」

 一般人とはかけ離れた、まるでアイドルのような存在を憧れのように追い掛けてると思っていた。少なくとも自分は。
 …いや、違う。そう思い込んでいた、言い聞かせていたんだ。そうでなければ、辛すぎたから。
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