ラブ☆ヴォイス
コンコン…

ゆっくりと足音が近づいてくる。…あっくんが、いる。





「…やっぱり、来たか。」
「え…?」





 ガチャっとドアが開いて…目の前にあっくんが、いる。
 たったそれだけのことなのに。前までは、普通に見れていた顔なのに。

「…っ…。」
「…なんでもはや泣いてるわけ、お前。」
「…だっ…だって…あっくんが普通にいてくれる…からっ…。」
「来る気がしてた。…つーか、来てほしかった。」
「え…?」

 思いがけない言葉が上から降って来て、唯はその声に導かれるままに顔を上げた。そこには少し困った表情を浮かべたあっくんがいる。

「入れ。…ちゃんと話そう。俺もお前に言いたいことがあるから。」
「お…お邪魔します…。」

 ゆっくりとあっくんの家に足を踏み入れる。緊張は全然解けてくれないけど、あっくんの顔を見て少し安心している自分がいた。―――拒絶、されなかった。そのことに、どこかですごく安心していた。
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