ラブ☆ヴォイス
「傷付けるって分かってて、ああ言った。お前をあえて傷付けた。…泣かせたのは俺だ。だから、そのことは謝る。」
「…っ…あ…あたしは…っ…別に謝ってほしくなんかないよ。」
「はぁ?」

 …あっくんの顔がぱっと上がった。そして怪訝そうな顔で唯を見つめる。

「人がせっかく謝ってんのに、謝罪を受け入れねぇってか?」
「ちっ…違うっ!そうじゃなくて…あたしが欲しいのは…謝罪じゃないもん…。」
「じゃあ何を…?」
「伝えに来たの。…あっくんには全然伝わってなかったみたいだったから。あたしが泣いたのは…あっくんに冷たくされたこともあったけど…、それ以上に、気持ちが伝わってないことが悲しかったからなの。」

 言葉にすると、すごくしっくりきた。…悲しかったのは、気持ちが届いていなかったこと。だから届けに来た。今、あなたに。
 唯はあっくんの瞳を真っすぐ見つめた。言わなくちゃいけないことは、もう決まってるから。

「…あたしは、あっくんのことが大好きです。あっくんだから、大好き…。」

 少しだけ、声が震えた。
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