ラブ☆ヴォイス
 唇を離すと、瞳が重なる。涙でいっぱいのその目。そして熱過ぎる頬。
 知らない表情が知ってる表情に変わるって、こういうことを言うのかもしれない。知らなかったことが知ってることに変わる。その一つ一つを大切だと思える。

 …お前に出会わなければこんな気持ちになることもなかったのかもしれない。

 柔らかい髪を撫でながら、少し落ち着くのを待つ。少し待ってもあまり変わりそうにないけれど。

「…夢…?」
「は?」
「…あっくん。」
「なに?」
「ほっぺつねって?」
「なんで?」
「だってこれ、夢だから!」
「お前は起きたまま夢見んのか?器用なやつだな。」
「だって本当っぽくないんだもん…。」
「現実だって。俺の言葉信じらんねぇのか?」
「そうじゃないけどっ…だってあっくんが…あのあっくんがあたしを…好きとか…それにキ…キス…までしてくれちゃったりなんか…現実味…なくてっ…。」
「…あっそ。じゃあ…。」

 明博は唯の肩にそっと唇を置く。そしてそのまま軽く吸い上げた。
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