ラブ☆ヴォイス
 苦しいってことを、あっくんのシャツを掴んで知らせる。そうするとあっくんがようやく離れる。

「…くれぐれも今後、あの幼馴染野郎にスキを見せねぇこと。いいな?」
「光にはちゃんと言ったから大丈夫だよ…。」
「お前は…そういうところが甘い。今日はそばにいてやれるけど、俺はいつだってお前のそばにいてやれるわけじゃねぇんだぞ?…だから言ってんのに。」

 ちょっと拗ねたような顔で、あっくんが小さくそう言った。…今の顔…

「ちょっと可愛い。」
「はぁ?」
「え…あ、だって今の顔…初めて見た…から…その…可愛いなって…。」
「お前…男に向かって可愛いなんて言うんじゃねぇ!」
「だってーあっくん拗ねてて可愛いんだもん。」
「…あー言ったな。言うなっつったのに、言ったな?」
「へ…?」

 あっくんの目が意地悪く光る。…じ…地雷を踏んでしまったかも…。

「あ…あっく…。」

 そう言いかけた唯の唇はいとも簡単に塞がれた。半開きだったのが悪かった。あっくんの熱が唯の口内にいとも簡単に入って来て、それに抗う術を唯はもたない。
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