ラブ☆ヴォイス
「…負けた、結局。」
「え?」
「あいつのストレートさの前に、俺の屈折した感情なんて太刀打ちできるはずもなかったんだ。」
「それは…言えてる…な。」
「だろ?」

 頑なに閉ざしていたはずの気持ち。自分の幼くて弱い気持ちをすくい上げるように優しく、ただ見つめてくれた。たったそれだけ、されどそれだけ。それだけで…どれだけ救われたのか、自分という人間は。

「はぁーでもほんっと安心。唯ちゃんとの結婚式にはちゃんと呼べよー?」
「…気が早ぇよ。付き合い始めたばっかだっつーのに。」
「でも最後までいくだろ?…手放す気も最初からないんじゃない?」
「……。」

 そんなもん、〝ない〟なんてこいつの前では絶対に言いたくない。

「あれあれー?照れてる?」
「別に。」
「うわー可愛い!御堂、すっげー可愛いんだけど!長い友人人生の中でこんなに可愛い御堂を見るの初めてかもしんない!」
「うるせぇなてめぇは…。結婚ならお前が先だろ。まだ帰ってこねぇのか?」
「いやー?来週帰ってくるよ?」
「…お前なぁ…そういうことは早く言えよ。もっと前から分かってたんだろ?」
「え、あーまぁね。でも御堂、唯ちゃんのこととか過去の古傷とかでいっぱいいっぱいかなーって。亜実(アミ)のことは別にギリギリでもいいかなって思って。」
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