ラブ☆ヴォイス
 唇を離して3秒、あっくんが目を開けて唯を見つめる。

「お前、『先生』ボイスにホント弱いな。」
「分かってやってるあっくんがずるいっ…。」
「お前さーまさかとは思うけど俺より『先生』の方が好きとか言わねぇよな?」
「へっ?」
「…おい…なんですぐ否定しねぇんだよ?」
「いやっ…だって声は同じなわけで…でしょ?」
「性格は全く違うけどな。」
「まぁそうだよね…『先生』は…こう、何て言えばいいかな…あ!紳士!ホントに紳士だし、でもいきなり『俺』って言い方に変わっちゃったりもしてドキドキするっていうか…。」
「『唯さん、唯さんは僕の方が好きなんですか?』」
「え…な…なに?」

 『先生』ボイス…だけど、質問の意味が…。

「答えろよ。お前、俺の声だけが好きなんじゃねーの?」
「そんなことあるわけないじゃん!あっくんの声に恋したのが始まりだけど、あっくんの全部が大好きだもんっ!」
「…じゃあお前、具体的に俺のどこが好きか言ってみろ。」
「えーっと…声、でしょ?」
「まずそれかよ!普通性格とか言うだろ。優しいとかそういうやつ!」
「あっくん、基本は優しくないもん。…最近優しいけど。」
「なんだそれ…。」
「じゃーあっくんはあたしのどこが好きなの?」

 あたしばっかり言うのはずるい!唯だって知りたい。あっくんが自分のどこを好きだって思ってくれたのか。
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