ラブ☆ヴォイス
* * * * *


「向坂!レジ!」

「あ、はい。」


なんで誰かが並ぶと一気に列が出来るんだろ…
誰もいねぇときはホントに誰も来ねぇのに。


んなことを思いながらレジを打つ。


「カバーをおかけしますか?」

「お願いします。」


…なんだよいるのかよめんどくせ…。
認めたくはないが、最近の俺はすこぶる機嫌が悪い。


先の読めた未来が実際に訪れただけのこと。
それでもそんな簡単に納得して引き下がれるほど大人でもないし割り切れもしない。


行き場のない想いだけがぐるぐるして、さらにイライラは増す。


「…向坂、変わりな。」

「え…?」

「大変申し訳ありません。少々お待ち下さい。」


手元に目を落とすとカバーの端と端が全く合っていない。
客も困ったような表情をしている。


「向坂、あんた休憩。」

「え…でも…。」

「いいから引っ込みなさい。」


綾瀬さんにこう言われては仕方がない。
俺は裏へと引っ込んだ。


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