ラブ☆ヴォイス
＊　＊　＊


休憩室でぼーっとしていると、バタンとドアが開かれた。


「向坂！あんたここんところおかしすぎる！てゆーか迷惑なんですけど？」

「…開口一番それですか？」

「それしか出てこないっつーの！
一緒にバイトしてる子たちも迷惑してんのよ！
何があったか知らないけど、いい加減にしなさい。」


まさに鬼の形相で、切れ間なく俺を叱咤するのは綾瀬みちるさん。
大学4年…だったよな、確か。
大学生のバイトメンバーの中のリーダー格。


こげ茶色に染めた髪をポニーテールにするのが彼女の勤務スタイル。
勤務年数も長いし、勤務態度も店長にかなり評価されている。


…だから客受けも非常に良い。
実際笑顔で客に対応するし、ミスなんて絶対にしない。
分からないことは彼女に聞けば一件落着だ。


顔は…まぁ、その…なんだ。可愛いって言うよりは綺麗系なんだろうし、だからこそ客受けも良いんだろうけどそれは表の顔。


ミスすればそれなりにキチっと叱られるし、万引きした中学生を捕まえた時なんかは凄かった。店長を差し置いて説教たれる始末だった。


正義感が強くて真っすぐで、さっぱりした人。


それが今、俺の目の前で美人な顔を台無しにしながら叱っている綾瀬さん。


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