ラブ☆ヴォイス
* * *


それから2週間後。
完全に吹っ切れたわけではないけれど、バイトに支障が出ない程度には自分を保つことが出来ていた。


そんな矢先…問題が発生したのは俺ではなく…





「綾瀬さん!?その顔、どうしたんですか!?」

「…なによ、ブスって言葉なら受け付けないわよ。」

「いや、造作がどうのとか言う話ではなくて目…。」


ぱっちりな目はどよんと腫れていておまけに目の下にはクマまで出来ている。
顔は全体的に腫れぼったい。
…こんな綾瀬さん、初めて見る…。


「…言いたくない。あたしだって向坂の事情は聞かなかったじゃん。」

「そうですけど…おそらくそんな顔してたらみんなに突っ込まれるかと…。」

「じゃあ何?向坂、あたしのシフト変わってくれるの?」

「何時から何時までですか?」

「5時から9時。」

「…いいですよ。そんな顔した綾瀬さん、お店に立たせることなんて出来ません。」


あまりにもすっと出てきた言葉。
躊躇することもなく、俺は綾瀬さんにこう言っていた。

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