ラブ☆ヴォイス
「…ありがとね。向坂がいてくれて良かった。」


背中にこつんと、綾瀬さんのおでこが乗った、そんな感覚。


「涙止まるまでもうちょっとだから、もう少し走って?」

「…分かりました。」





そのままチャリを走らせること10分。


「…向坂。ここでいいよ。」

「はい。」


言われた通り、俺はそこでチャリを止めた。


「…この辺に家あるんですか?」

「ここから少しだから。」

「送りますよ。もう遅いし。」

「あーじゃあ家の前まで乗っけてもらおうかな。」

「いいですよ?」

「…冗談だって。充分。ありがとう。」

「家、どっちですか?」

「…このまま真っすぐ。」

「分かりました。」


綾瀬さんと並んで歩く。
…こうして見ると、今日の綾瀬さんはひどく小さく見える。


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