ラブ☆ヴォイス
* * *


それから1週間と経たない、仕事帰り。


「だから、あたしは忙しいんだってば!」


…前にどこかで聞いたような、きっつい声。
男が二人に女の子一人。
まさか…、とは思ったものの気になってその子の顔を見た。


「あ…。」


あの子、間違いなく。
強気な目も鋭い声もあの日となんら変わりはない。


今回は『彼女』の立場というか立ち位置が悪いだけ。


「そんな冷たいこと言わないでさー…。」

「それ以上あたしに触ってると、あんたたち痛い目見るわよ?」

「強気だよねー…そんなとこもちょっとそそる。」


…これは、さすがにまずいんじゃないか?
そう思ったとき、俺は1歩踏み出した。


その瞬間…


「だーかーらっ!痛い目見るって言ってんでしょ!?」


…その後のことは、まるで特撮ヒーローを見ているかのような気分だった。
ただ酷く重い音だけが2回響き、『彼女』はパッパッと手を叩いた。
まるでゴミでも落とすかのように。


「すっげぇ…。」


思わず零した声に、『彼女』は反応した。

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