ラブ☆ヴォイス
「…っ…!」

「な…なんだ?止まった?ってだいじょー…。」

「…っ…こ、来ないで。」

「別に君に何か危害を加えたりしないよ。
それより大丈夫?怪我とかしてない?」

「して…ない…からっ…。」

「え…?」


声を使う職業上、どうも音には敏感になる。
だから…





「…泣いてる…?」

「泣いて…ないっ…!」

「いやいや泣いてるよね。どっかぶつけた?衝撃の涙?」


暗くて顔も身体もどこにあるかは分からないけど、気配がする方へ近付いた。


「いたっ!」

「あ、ごめん。蹴っちゃった。」


どうやら彼女の足を蹴ってしまったらしい。かるーくだけど。
ていうか、靴に当たった感じがしない。
…この子、座ってる?


そう思って俺は屈んだ。
そしてポケットからケータイを取り出し、開いた。


ほのかに光る自分の顔と彼女の顔。
…ほらな、やっぱり。


「泣いてんじゃん。怪我してなーい?」

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