ラブ☆ヴォイス
* * *


「亜実っ!達也!」

「ん…。」

「お…お姉ちゃん…?お、お姉ちゃんっ!」

「亜実っ!大丈夫?」

「大丈夫!」


目が覚めると、目の前には由実がいた。
彼女を抱きしめ、少し安心した表情を浮かべている。


「達也、大丈夫?」

「あー…俺は平気。」

「顔色悪いわ。亜実に上着着せてたなんて、寒かったでしょう?
もう電気も大丈夫だし、家で温まって。」

「あ、ああ。」


起き上り、エレベーターの外に出る。
…寝てたんだな、いつの間にか。
そんなことを思っていると、彼女が不意に振り向いた。


「こ、これっ…!」


彼女の手に握られているのは俺のジャケット。


「か、返すっ!」

「え…。」

「だってあんたのでしょ!?」

「いやまぁそうだけど…そんな睨まなくても…。」

「睨んでないっ!」

「そーですか。」


あの『ありがとう』は幻だったのかと思えるくらいに〝元通り〟の彼女に苦笑しながらも、俺は由実の家へと進んだ。

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