ラブ☆ヴォイス
俺はゆっくりと彼女を離した。
自然とぶつかる互いの視線が、久しぶりだからこそちょっとくすぐったい。


「…亜実、痩せた?」

「え?」

「なんか抱きしめた感じでそう思っただけだけど。」

「別にそんなに変わってないと思うけど…。服とかずっと同じサイズだし。」

「そう?向こうで無理したりはしてないよね?」

「してないって。でも男の人にいっぱい誘われるようになったよ?」

「はぁー!?なにそれ!聞き捨てならないんだけど!」

「なんでそんなに怒るのよ。別にデートに誘われるくらい、いいじゃない。」

「それで亜実はデート行ってるわけ?」

「あんたじゃあるまいし、あたしは浮気とかしませんけど?」

「…知ってるけど、不安になるんです。普通に離れてるし。」

「そんな顔しないでよ。悪いことしてる気分になるじゃん。」

「亜実は寂しくないわけ?」

「んー…仕事中はそんなに。」

「ひっでー!」

「あんただって仕事中は仕事に集中してるでしょーが!」

「恋愛系の声あてるときはそうでもないよ?
相手役に亜実を重ねて声あててるし。」

「っ…バカじゃないの!真面目に仕事しなさい!」


ポカっと軽く、頭を殴られる。
…彼女は大体、手と口が一緒に出る。

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