ラブ☆ヴォイス
リビングに戻って、あっくんとは少し距離を取ったところに腰を下ろす。
「なに?そんなに集中して観たいわけ?」
「…あっくんの作品だもん。」
「お前が俺の作品を大事にしてくれてるのは知ってる。映画も俺がやったチケットとは別に観に行ってくれてるもんな。」
「え、なんでそれ…。」
「お前、こないだ映画の半券、手帳に貼ってる途中で風呂入っただろ?同じ映画の半券、2枚あったからな。」
「…。」
「ありがとう。だから頑張れる。」
不意に優しく微笑むあっくん。ほら、また鳴るんだよ、心臓。
「もーやんないから来い。一人で観るのなんてつまんねぇ。」
「…隣で観たい。」
「いーよ。とにかくこっち来い。」
あたしはあっくんの傍に寄った。ストーリーはいよいよ終盤。この映画であたしが一番好きなシーンにさしかかっている。
『今の僕は君に触れられないけれど、いつか君に出会えた時、君に触れられる。そんな気がしてならないんだ。』
夢の中で出会った二人が、現実の世界の桜の木の下でのみ会える。それでも生きる彼女と、何故か桜の木から離れられない彼は触れ合うことができない。
彼は夢の中の存在。夢から出てきてしまってはならない、存在。だからこそ決して彼と彼女は交わらない。想いはどれだけ交わろうとも。
「なに?そんなに集中して観たいわけ?」
「…あっくんの作品だもん。」
「お前が俺の作品を大事にしてくれてるのは知ってる。映画も俺がやったチケットとは別に観に行ってくれてるもんな。」
「え、なんでそれ…。」
「お前、こないだ映画の半券、手帳に貼ってる途中で風呂入っただろ?同じ映画の半券、2枚あったからな。」
「…。」
「ありがとう。だから頑張れる。」
不意に優しく微笑むあっくん。ほら、また鳴るんだよ、心臓。
「もーやんないから来い。一人で観るのなんてつまんねぇ。」
「…隣で観たい。」
「いーよ。とにかくこっち来い。」
あたしはあっくんの傍に寄った。ストーリーはいよいよ終盤。この映画であたしが一番好きなシーンにさしかかっている。
『今の僕は君に触れられないけれど、いつか君に出会えた時、君に触れられる。そんな気がしてならないんだ。』
夢の中で出会った二人が、現実の世界の桜の木の下でのみ会える。それでも生きる彼女と、何故か桜の木から離れられない彼は触れ合うことができない。
彼は夢の中の存在。夢から出てきてしまってはならない、存在。だからこそ決して彼と彼女は交わらない。想いはどれだけ交わろうとも。