ラブ☆ヴォイス
「あっくん…。」
「うわー御堂しか目に飛び込んで来ないかぁー…噂通りだね、ユイちゃん。」
「うっ噂!?どんな噂ですかそれっ!」
「筋金入りのあっくんファンが隣人だって話。はじめまして、ユイちゃん。俺、あっくんのお友達の空野でーす。」
「しっ…知ってます!」
「あ、そうなの?俺ってばゆうめいじーん♪」
「…タツ、近所迷惑。」

 終始ニコニコしていて明るい空野とは対照的にあっくんは仏頂面である。唯はというと、久しぶりに会えた喜びでいっぱいだ。

「…あっくん…不機嫌?」
「なんでいるんだよお前。」
「だってラジオであたしの名前…それにうちのマンション、ペット禁止だから…。」

 混乱しすぎて結構支離滅裂になっている。そんな様子を見てなのか、くっくっくと小馬鹿にしたような笑い声が頭上から降ってきた。

「…あー可愛いなぁ…ユイちゃん。ペットなんて飼ってないよ、御堂は。ラジオのユイちゃんはメールも俺からのメッセージの相手も君だよ。気付いてくれてありがとね。」
「バカが二人だと疲れる。」
「ばっ…バカじゃないもんっ…!…っくしゅん!」
「こんな夜に出てくんなよな。風邪ひくっつの、家戻れ。」
「えーせっかくだから御堂んちおいでよ。俺ら、襲ったりしないし。」

 え…?それって…あっくんちにお邪魔出来るってこと?

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