ラブ☆ヴォイス
「やーっぱこの体勢じゃないと映画観れねぇな。」
「え…?」
「お前すぐ泣くし。俺もこの方がしっくりくる。」
「…あっくん。」
「…なんだよ?」
「あっくんは消えないよね?」
「消えません。お前、俺が夢だとでも思ってるわけ?」
「思ってないけど…同じ声だから…。」
「そりゃ俺の声だからな!あのなぁ…ほら、触れんだろ?」

 あっくんがあたしの手を自分の頬にくっつけた。

「触れる…。」
「おまっ…その初めて触れましたみたいな反応やめろ!」
「…だって…。」
「ったく、感情移入しやすいのは知ってるけど、ここまでとはな…。…泣き止んだか?」
「…な、なんとか。」
「ホラー観るぞ、ホラー!しばらく切ない系恋愛モノは演じねぇ。」
「え、ほ、ホラー?」
「何?苦手?」
「…う、うん。」
「じゃーしっかり抱きしめといてやるよ。」

 …結局次のホラーはほとんどあっくんにしがみついてて内容なんてほとんど覚えていなかった。終わった後、にこにこしていたあっくんだけがやけに印象的だった。


*fin*

→次のページはあとがきでーす。
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