ラブ☆ヴォイス

あなたに染まる夜

* * *


ドクンドクンと跳ねる心臓のせいで息苦しい。


「…うぅ…どうしよ…。」


あっくんの家のソファーに膝を抱えて座って、どうにか心臓の鼓動をゆっくりにしようとするけれど、全然効果がなくて困る。
遠くに聞こえるシャワーの音が余計にあたしの緊張を高めていく。


「ほ、ほんとに…どうしよ…。」


明日は久しぶりのオフで、しかも今日も今日中に帰れるということで会いに来たのはいいけれど…でも…。


「これ以上拒否したら…嫌われちゃう…。」


正式に付き合い始めて3ヶ月。
…あたしはあっくんを待たせている。あっくんはとってもとっても我慢してくれている。
だからキス止まり。そういう雰囲気になる度に、あたしの腰が引けてしまう。そうするとあっくんはそこで止めてくれる。
ちょっと切なそうな、苦しそうな顔でいつも言ってくれる。


『…待つよ。』


と。
だけど、そう言われる度に罪悪感が募って仕方がなくなる。
勝手だって分かっているし、無理強いされて困るのはあたしなのに。
大好きだから会いたくて、ぎゅっとしたくて、き、キスもしたくて。
それなのにあと一歩は踏み出せない。


「…どうしよ…。」


悲しい顔をさせたくない。あっくんが欲しいって思ってくれることも嬉しいのに、怖いって思っちゃう。大好きなのに。触れたいってあたしも思ってるのに。…だって、初めてで何にも分からないから。


「出たぞ。次入れば?」

「ひゃっ!あ、あっくん!?」


声の方を振り返って、そしてその姿にぐるんとまた元の位置に視線を戻す。


「な、ななななんでちゃんと服着てないの!」

「下は履いてるんだし別にいいだろ!あちーんだよ!」

「め、目のやり場にこまっ…困るっ…!」

「堂々と見ろ!」

「む、無理だよぉ…。」

「ったく…まぁしゃーねぇか。…とりあえず入れよ。」

「う、うん。ありがと。」


あたしはそっと着替えを持ってバスルームに向かった。
鼓動がまた一際うるさくなった。

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