ラブ☆ヴォイス
* * *


「あ、あっくん、お風呂ありがとう。お湯抜いて換気扇回しておいたよ。」

「あーサンキュ。」

「う、うん…。」


ど、どうしよう。きょ、挙動不審だ。それにあたしの場所、あっくんに取られちゃった。ど、どこに座ろう。ソファーに座れないことはないけど、でもあっくんが真ん中寄りに座ってるせいで余ってるスペースに座ろうとするとあたし、あっくんのすごく近くになっちゃ…


「唯。」

「は、はいぃっ!」

「ちょっとこっち来い。」

「え?」

「何もしない。だからちょっとここ座れ。」


あっくんが手招きをしている。指差されたのはあっくんの隣だ。
あたしはゴクンと口の中の空気をそのまま飲み込んで、あっくんの隣に腰を下ろした。


「……。」


ど、どうしよう。本当に。心臓が信じられないくらいうるさくて、多分きっと、少し離れているけど聞こえてしまう。


「…なぁ。」

「は、はいっ!」

「そんな緊張すんなって。何もしねぇっつってんだろ。」

「ご、ごめんなさい。」


あっくんの顔がうまく見れない。だってきっと、今少し悲しい顔してるもん。


「…はぁー…なぁ、そんな風に緊張してるうちに、段々俺に会うのが嫌になってこないもんなわけ?」

「え…?」


その言葉にはさすがに顔を上げた。
…あっくんと会うことが…嫌になる?そんなこと…


「な、なってない!なってないよ!なるわけないよっ!」

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