ラブ☆ヴォイス

ヤキモチ

「ダミーヘッドマイク?」
「しかもR18。」
「えぇ!?」

 あっくんのお仕事としては初の…そういう類の仕事に、唯は戸惑いを隠せなかった。包み隠さず話してくれるあっくんに安心はするものの(もちろん守秘義務があるため、あっくんの口から唯が聞く時にはすでに発売間近になっている場合の方が多い)、内容については不安が残る。

「…どういう中身?」
「そういう中身。」
「…それって…。」

 一体どこまでなのだろう?色々なCDや役で甘い台詞を囁いたり、キスをしていたりすることはあったけれど、そういう中身がどこまでを指すのかが全く分からない。

「ダミーヘッドマイクって何?」
「立体音声を生み出す装置。完成品あるけど、聴くか?」
「えっ…。」

 さすがに唯は戸惑った。あっくんの声ならばどんな声でも好きではあるし、あっくんの演技はいつ聞いても凄いと思っている。だからこそ、…ちょっと怖い。

「…聴く。」
「ヘッドフォン推奨。」
「え?」
「まじでこの辺で聴こえるから。」

 そう言ってあっくんが指を指したのは本当に耳元だった。どういうことなのだろう?

「んじゃ、どーぞ。嫌になったら止めていいから。」
「う、うん…。」

 唯はおそるおそる再生ボタンを押した。

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