ラブ☆ヴォイス
* * *

「ん…。」

 唯は目をこすった。何だか身体のだるさは抜けている。熱はどうやら下がったようだ。…と、そこまで思考が回って、ようやく焦点が合った。隣で眠る、大好きな人に。

「っ…!」
「人が真剣にプロポーズしたっつーのに、意識飛ばすってお前何事?」
「あっくん!」

 肩肘を立てたところに頭を乗せ、不機嫌そうな顔をしたあっくんに昨日のことを思い出す。
(そうだあたし、プロポーズされて、それで…。)
 唯は慌てて指を確認する。薬指には昨日と同じように指輪が輝いている。

「夢、じゃない…。」
「当たり前だろ、夢であってたまるか!」
「うぅ、ごめん。」
「それで、返事は?」
「え?」
「薬指の返事、教えてほしいんだけど?」
「…あたしで、いいの?」
「それ、聞くか?」

 はぁーと深い溜め息を零して、あっくんが唯を見つめた。

「つーかお前、俺の話ちゃんと聞いてた?」
「聞いてたよっ!昨日のプロポーズだってちゃんと覚えて…。」
「俺がお前といたいだけなんだけど。全部俺の独占欲。お前でいいんじゃなくて、お前がいい。」
「っ…。」

 あまりに真っすぐな視線に真っすぐな言葉。熱がまた上がってしまいそうだ。

「…あたし、も…あっくんのそばにいたい。これからもずっと、ほんとにずっと。」

 言葉にすると恥ずかしくなる。耐えられなくなるくらい恥ずかしくなって、唯はあっくんの服の裾を掴んで、あっくんの胸に顔を埋めた。

「お前さ、恥ずかしくなるとそれやるよな。おかげで俺の服結構伸びてんだけど。」
「え、うそ、ごめ…。」
「うそ。」

 ちゅっと甘い音が残ったのは、絶対にわざとだ。嘘をついたのも、全てがあっくんの計画的犯行であることは疑いようがない。

「あっくん!」
「ベッドの上で結婚決めるとか、それもそれで結構アリかもしんねーな。このまま、イイってことだろ?」
「え?」

 唯の身体に覆い被さるのは生き生きとした表情のあっくんだ。
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