ラブ☆ヴォイス
「昨日我慢した分。病みあがりじゃデートにも行けねぇしな。」
「やっ、病みあがりだからまだ寝るもん!」
「だから一緒に寝るって。」
「あっくんのは意味違うし!」
「よく分かってんじゃねーか。」
「むっ、無理!また熱出ちゃう!」
「分かってるって、じょーだんじょーだん。でも本当に寝るよ、隣で。」

 あっくんの手が唯の身体を抱き寄せる。温くて、よい香りのあっくんの胸の中に心の底から安堵する。

「あっくんの匂い、落ち着くから大好き。」
「大好きなら顔、こっち向きにしてほしんだけど。」
「やだ。」
「なんで。」
「寝顔、やだもん。」
「大丈夫。さっきまで見てたけど、襲いたくなるくらい可愛かったから。」
「それドラマCDかなんかで言ってたセリフ!」
「お前ほんとよくチェックしてるよな…。」

 あっくんが呆れたようにそう言う。でも今なら唯にも分かるのだ。呆れたようでいながら、それがあっくんにとってとても嬉しいこと。

「あ、あっくん。」
「ん?」

 唯はあっくんから少し離れて、あっくんの瞳を真っすぐに見つめた。あっくんがくれた言葉に見合うように、自分も言わなくちゃいけないことがある。

「あっくん、足りないところもいっぱいあるけど、努力することはやめないので、末長くよろしくお願いします。」
「っはは。なんだそれ。ふつつか者ですがーとか何とかが普通じゃねぇの?」
「え?」
「って俺もよく分かんねぇけどさ。でも、お前らしいな。〝努力することはやめない〟っての。いい言葉。」
「だって、頑張り続けないとあっくんに見合う彼女でいられないもん…。」
「彼女、卒業。妻、だから。嫁って方がお前に合ってるかも。」
「彼女…卒業…。」
「俺も彼氏卒業だな。夫、旦那、亭主?どれもしっくりこねぇ。」
「…なんか、ふわふわしてきた。」
「は?」
「この3年くらいでいっぱい夢が叶って、この先もずっとあっくんがそばにいてくれるとか、…また熱出そう。」
「それは許さない。ほら、寝ろ。」
「ひゃっ!」

 あっくんに無理矢理布団を被せられた。布団の中であっくんの腕が強くなった。

「どんだけ俺を我慢させんだ。早く寝て完治してくれ。じゃねーと俺の嫁ってタツに自慢できねぇだろ。」
「俺の…嫁…!」
「いいから寝ろ!」
「ぎゃっ!」

*fin*
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