ラブ☆ヴォイス
 こんなに大好きで大好きで仕方がなくて、週2のラジオも聞いて、メールも送って、あっくんが出てるアニメも全部チェックして何度も繰り返し見ている。それでも…やはり遠い。あの日はあんなに近かったのに。

「…でも死ぬほど嬉しかったこともあるんだから。」
「分かってるわよ。えっと…ラジオであんたの誕生日祝ってもらったってやつでしょ?」
「そうそう!」

 思い出すだけでにやけてしまう、唯の人生最大のきゅんきゅんメモリーである。
 あれは1年前、大学1年の時のあっくんのラジオでの出来事だ。その日がたまたま唯の誕生日で、あっくんに言ってほしいことリクエストというコーナーに、「誕生日おめでとうって言ってほしい」というメールを送った。読まれるはずもないだろうと半ば諦めた気持ちで。

「それがまさかホントに読まれるとはねぇ…。あの頃からだよね?本気で恋しちゃったのは。」
「元々大好きだもん!」
「あー分かった分かった。ほらほら、先生来た。」

 先生の登場がつまらない講義の始まりを告げる。こんな講義を聞くくらいならば、今すぐにこの部屋を出たい。そしれ本屋に猛ダッシュして声優さんの雑誌でも買いあさりたい。しかしそれが出来ないのはもちろん単位を落としたくないからだ。

「あっくん…。」
「うざいその呟き。」

 華にざっくり斬り落とされて、さすがに唯はしょげた。

< 4 / 396 >

この作品をシェア

pagetop