ラブ☆ヴォイス
* * *

「タツ…恨むからな。」
「そんなー心せっまーい!」
「…大体お前がこいつに酒なんて飲ませるから。」
「あれだけでこんなに酔っちゃうなんて可愛いよねーユイちゃん。」
「…お前な。」

 唯を抱きかかえながら寝室の前に立つ明博をニヤニヤしながら見るのはもちろん達也だ。明博はドアを開けろと目で命令する。

「こわぁ~いあっくん。」
「…早く開けろ。重いんだ。」
「嘘つきー軽いくせに。」

 …確かに嘘だ。唯は小柄だし細い。つまりは軽い。
 明博は仕方なく、自分のベッドに唯を寝かせた。寝息は規則正しく、顔は少し赤い。酔っているから。

「明日こいつ大学だぞ?」
「起こしてあげればいいじゃん。あっくんの素敵ボイスで。」
「…楽しんでるな、お前。」
「楽しんでるよー!だってユイちゃん可愛いもん。」
「お前な…お前には大事な奴が…。」
「あっくんもさー恋は大事だよ?何怖がってんの?」
「怖がってなんか…ない。」

 そう言った声が微かに震えたのを、唯が起きていたら見抜いたかもしれない。
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