ラブ☆ヴォイス

＊　＊　＊

「はぁ…はぁっ…。」

　猛ダッシュで帰ってきたため、息が上がる。光と喧嘩なんてしたくなかった。後が気まずくなるのが分かっているから余計に。それに…

「今のはあたしが悪い…もんね。」

　一方的にイラついて、一方的に切った。何の説明もせずに。光が意味が分からないと言って怒るのも当たり前な気がしてきた。

「どうしよ…。あーもうやだやだやだー！最悪！」
「…るせぇな。お前はどうして平和に帰ってこれねぇんだよ。」
「あ…あっくん…。」
「何泣きそうな顔してんのお前。」
「だってー…あっくんのことで喧嘩したんだもん！」
「うわー俺のせいにすんなよ。てめぇの喧嘩なんて知るか！」
「あっくんの仕事終わったの？」
「終わったけどお前の愚痴を聞く義理も暇もない。」
「そんな～酷い～…。」
「どっちがだよ。こっちはヘトヘトで帰って来てんのになんでお前の愚痴なんて余計なもん聞かされなくちゃならねぇんだ！」
「…それは…なんていうかごもっともだけど…。」

　今がお仕事帰りならば疲れは相当溜まっているに違いない。何しろあっくんは売れっ子声優なのだから。

「というわけで帰れ。つーかそんなもんは友達にでも相談しろ。」
「だって華は彼氏とデート…。」
「他は。」
「華にしか言ってないもん。あっくんが隣に住んでるってことは。」

　言いふらすべきことではない。あっくんのプライバシーに関わる問題だ。